高齢妊娠・出産

35歳以上での妊娠・出産は、「高齢妊娠」「高齢出産」と呼ばれます。35歳以上というのは、それ以前と何が違うのでしょうか。最近ますます増加傾向にある高齢出産ですが、実はそれほど心配することもないようです。

■ どうして「高齢」は区別されるの?

年々増加している高齢妊娠ですが、一般的に「高齢出産」といわれるのは、35歳以上の初産婦のことをいい、医学的には「高齢初産」といいます。この35歳という年齢は、医学的見地ならびに社会情勢を見て、定義されたものです。生理学的現象としては必ずしも大きなターニングポイントではありませんが、産科学的立場からは区分しやすいポイントとなります。

35歳を境にすると、統計学上、産科的リスクに多少の差異が見られるのは事実です。身体的、心理的因子が積み重なり、結果として産科的なリスクが35歳未満の集団と比べると、35歳以上の集団のほうが高い傾向にあるということです。

ただし、35歳未満との違いはあくまでも集団としての違い。トータルとしてリスクが高くなるということで、個人差もとても大きいものです。

「予想されるリスクを避けるためにも35歳以上のママは少し注意しましょう」くらいに考えればいいでしょう。

 

■ 高齢妊娠のリスクは?

高齢妊娠にやや多く見られるリスクとしては、まず早産・流産が挙げられます。実際、一般的な流産率は13%程度ですが、35歳以上では20%以上。また早産率も若干高いことが報告されています。

そのほかに、妊娠中毒症や妊娠糖尿病も高齢妊娠の場合に出現の頻度が高くなります。これは、若い人たちと比べてもともと高血圧症や糖尿病といった生活習慣病の予備軍が多いということが理由の一つに考えられます。

 

■ 高齢妊娠で気をつけることは?

上記のようなリスクを軽減するためにはやはり食生活が一番大事です。

  • 塩分は控えめに
  • 青魚を食べる
  • カロリーを取り過ぎない
  • 体重管理に気をつけて、規則正しい生活を送る
  • 自分でも血圧を測って体の変化に気をつける

といったことでいいのです。自分で予防できることは自分で予防しましょう。また、そのためにも定期健診は必ず受けるようにしましょう。

仕事をしているママの場合、ついつい無理をすることがあるかもしれません。しかし、ストレスなどの心理的要因が流産に影響を与えるというデータもあります。無理は禁物。あれこれ1人で悩まないように、できるだけ周囲の協力を得て、妊娠生活を乗り切りましょう。

 

■ 出産はどうなるの?

高齢出産には帝王切開が多いといわれています。実際、35歳未満の帝王切開率が15.5%なのに対し、35歳以上では46.1%という報告もあります。ただ、高齢出産の帝王切開には、若い人に比べ、緊急ではなく、予定帝王切開が多いという特徴があります。これは、陣痛を乗り越えて出産する体力的な自信がない、あるいは赤ちゃんにとってもっとも安全なお産にしたいという理由から、ママ自身が帝王切開を希望する場合もあるからです。確かに、帝王切開はママにとってリスクを伴うものですが、赤ちゃんにとってはストレスのない方法ではあります。

産科的な問題がなにもなければ、一般的には経膣分娩を選択します。ですが、出産には持久力も必要です。妊娠が順調であれば、安産のために、マタニティエアロビクスで体を柔軟にしておくとか、ウォーキングなど適度な運動で体力と筋力をつけておくということはもちろん必要です。

ママ自身が勉強することも大切なので、出産について不安があれば産婦人科医にいろいろ相談してみましょう。

 

■ 高齢妊娠・出産が胎児に与える影響は?

高齢妊娠で多くのママが心配するのは先天異常かもしれません。卵子の加齢があるため、染色体異常の頻度が35歳未満に比べてやや高くなることは事実です。そこで、出生前診断を受けようかと悩む人もいるのです。ただし、検査自体に多少の危険が否定できないものもあれば、検査によってはまだまだ精度の低いものもあります。そしてその検査で何がわかるのか、それがわかったときにどういう対応が起こりうるのか、ということを事前に考えておく必要があります。

よくいわれる先天異常にダウン症があります。ダウン症の子どもが生まれる確率は、25歳でおよそ1000人に1人、40歳で100人に1人といわれています。つまり、妊婦が25歳の場合、ダウン症ではない確率が99.9%なのに対し、40歳では99.0%だということです。染色体異常というのはある頻度で全妊婦が等しく負うリスクです。確かにそれが高齢だとやや高いということはあるかもしれませんが、著しく高いということはありません。

そもそも、さまざまな先天異常を併せて考えると、先天異常率というのは年齢を問わず、等しく5%あるといわれています。生まれてすぐわかる先天異常は2%。内臓などの見えないところも含めると5%です。つまり、20人に1人。これは全妊婦に共通して授かる可能性のある偶然の出来事です。そのなかで、出生前診断でわかる先天異常はごくわずかです。検査を受けるにしても、事前にカウンセリングを受けるなどしながら、十分に話し合うことが必要でしょう。

 

出生前診断種類出生前診断種類 出生前診断の種類 出生前診断種類出生前診断種類
出生前診断種類 超音波診断
定期健診などで一般に行われている超音波診断ですが、たまに異常が見つかることもあります。ただし、これはかなり不確実なもの。通常は赤ちゃんが元気かどうかの判断を行うものです。
出生前診断種類 トリプルマーカー検査
妊娠15〜20週に母胎の血液のいくつかの成分を検査して、ダウン症や18トリソミー、神経管奇形などの可能性を調べる検査です。胎児への影響はありませんが、診断結果はあくまでも確率。結果の数値をどう受け止めるかは、妊婦さんにゆだねられます。その数値を高いと思うか、低いと思うかは人それぞれですから、検査を受ける前には慎重な判断が必要になります。
出生前診断種類 羊水検査
妊娠14週以降におなかから子宮に注射針を刺し、羊水を採取して調べる検査。染色体異常の有無などについてはかなり正確な判断ができますが、症状の程度まではわかりません。また、0.3%程度の頻度で流産などのトラブルが報告されています。
出生前診断種類 絨毛(じゅうもう)検査
妊娠8〜12週ごろに胎盤の元になる絨毛組織を採取して行う検査。染色体異常や先天代謝異常、遺伝性の病気などがないかどうかの確認ができます。母胎の血液が混じらなければかなり正確な判断ができますが、流産のリスクが1〜3%とやや高くなります。また、この検査ができる施設はまだ非常に限られています。

 

■ 2人目、3人目を35歳以上で妊娠・出産するリスクは?

基本的に初産婦とおなじです。体力の衰えなど加齢によって見られる現象は、初産、経産婦を問わず起きるからです。ただ帝王切開率の低下や、出産時間の短縮が見られます。また、前回の出産データをもとにリスク回避が図れますから、そういった点での安心はあるでしょう。

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