妊婦と虫歯

■ 虫歯はなぜなるの?

「甘いものを食べると虫歯になる」とよく言われますが、虫歯はミュータンス菌に代表される細菌が歯につくことで起こる感染症です。さらに次の3つの因子が重なり合うことで発生します。

  • 細菌のエネルギーになる糖質
  • 歯の質や唾液の量
  • 口の中に食べ物や歯垢が残っている時間の長さ

これらの条件がすべてそろうと細菌が繁殖し、虫歯を発生・進行させます。逆に言うと、この条件がそろわないようにすれば虫歯を予防できます。

歯磨きは歯垢(プラーク)や口の中に残った食べ物のカスを取り除き、細菌の活動を妨げることができるため、虫歯予防に有効なのです。毎食後に正しい歯磨きを行いましょう。

 

■ 妊娠中に虫歯になりやすいのはなぜ?

 

虫歯になる理由 妊娠中の虫歯になる理由 虫歯になる理由
虫歯になる理由 つわりなどで1度にたくさん食べられないないとき、小分けに食べ、食事の回数が増える
虫歯になる理由 つわりの時期は、歯ブラシを口に入れるだけで気分が悪くなり、歯磨きが十分にできない
虫歯になる理由 妊娠により唾液の「緩衝能」が落ち、酸によりダメージを受けた歯を修復する力が低下する

 

■ 妊娠中に虫歯の治療をしてもいいの?

虫歯の治療は、虫歯の進行の度合いによって変わるので、いちがいに「妊娠中に歯科治療をしても大丈夫」と言い切るのは難しいです。精神的に不安定になりやすい妊娠中は、麻酔薬やX線が妊娠経過やおなかの赤ちゃんへの影響がほとんどないと分かっていても、「赤ちゃんになにか問題が起こるのでは?」と心配になったり、歯の治療が過度の緊張や恐怖心を引き起こすことも考えられます。抜歯などの外科的な処置が必要な虫歯でも妊娠中はとりあえず応急処置にとどめておき、産後に本格的に治療を行うようにするのがいいでしょう。

虫歯治療時の注意点 妊娠中に歯の治療を受けるときに注意すること 虫歯治療時の注意点
・妊娠していることと、妊娠経過を伝えましょう
妊娠中に歯科治療を受ける場合は、必ず歯科医師に、妊娠していることと、現在の妊娠月数と詳しい健康状態を伝えるようにしましょう。そうすれば、歯科医の側も妊娠の経過に十分注意しながら、より安全に治療を進めることができます。
・母子健康手帳を忘れずに持参
母子健康手帳は妊娠経過が記されています。妊娠経過によって歯科の治療方針も異なってくるので忘れずに持っていきましょう
・産婦人科の先生にあらかじめ相談を
歯科医にかかる前には必ず産婦人科の先生にも相談をしておくようにしましょう。場合によっては歯科医から産科医に「この薬を使いたいのですが」などと紹介状をやり取りしながら治療に当たるケースもあるので、最初から双方に相談しておいたほうがスムーズです。

治療を受ける時期についても、あらかじめ産婦人科の先生に相談するようにしましょう。基本的には妊娠初期(〜4ヶ月)と妊娠後期(8ヶ月〜)は避け、安定期である妊娠中期(5〜7ヶ月)が望ましいとされています。

 

■ 虫歯の予防はどうするの?

虫歯予防の基本は毎日の歯磨きです。毎食後すぐ、細菌が活動を始める前に、5分以上かけて1本1本をていねいに磨くようにしましょう。プラーク(歯垢)のすみかになりやすい歯と歯の間はデンタルフロスできれいに。

つわりのときなど、どうしても歯ブラシを使うのがつらいときは抗菌作用の高い洗口剤で口をすすぎましょう。口をすすぐときはなるべく長時間クチュクチュしたほうが圧力がかかり汚れが落ちやすくなります。ただし、洗口剤は濃度や回数を必ず守りましょう。

できれば年2回、歯科医に歯石を取ってもらうようにしましょう。また、砂糖の摂取量を減らすとともに、砂糖の摂取回数を減らすことも大切です。常にアメをなめたり、糖分の多い飲み物をダラダラ飲むのは控えましょう。

虫歯に限らず健康な体作りが一番大切です。バランスのいい食生活と適度な運動で、抵抗力を高め、体のコンディションを整えておくことは虫歯予防にも不可欠な要素です。

 

■ 産後、ママの虫歯が赤ちゃんにうつるってホント?

「赤ちゃんの虫歯、実はママがうつしていた!」こんなショキングな事実が最近の研究で分かってきました。

生まれたばかりの赤ちゃんの口の中を調べてみても、虫歯の原因となる細菌は1つもありません。ところが、家族のだれか(主に母親)の口の中にこの細菌がいると、生後1才7ヶ月〜2才7ヶ月までの1年間に、同じ箸やスプーンで食事を食べさせたり、キスしたりしているうちに、唾液を介して知らず知らずのうちに赤ちゃんに細菌を感染させてしまうのです。

感染を防ぐには、この期間、赤ちゃんへの口移しをやめることですが、その前にママをはじめ、家族の虫歯を減らす努力をしましょう。虫歯が多い人ほど可能性が高くなるので早めの治療を心がけましょう。

妊娠初期(1〜4ヵ月)のママへ