子宮筋腫
子宮筋腫は成人女性の3〜5人に1人が持っていると言われる、けっして珍しくない病気です。子宮筋腫合併妊娠といって筋腫を抱えた妊婦さんも年々増えているようです。今後誰にでも起こりうるトラブルなので、子宮筋腫の基礎知識を学んでおきませんか?
■ 子宮筋腫ってなに?
子宮の筋肉に発生するこぶのような良性腫瘍で、多くは複数できています。良性なので放置しておいてもがんのように転移して広がったり、組織が破壊される心配はありません。
■ 子宮筋腫の原因は?
子宮筋腫の原因はまだ完全には解明されていません。ですが、筋肉が増殖して発生するので、筋肉細胞の遺伝子に異常が生じて起こるのではないかと考えられています。
子宮筋腫が比較的できやすい体質とそうでない人もいます。この体質は遺伝する可能性もありますが、症状の程度には個人差もあります。
■ 子宮筋腫の自覚症状は?
子宮筋腫の主な自覚症状は
- 過多月経
- 月経困難症
- 貧血
- 不正出血
- おなかの圧迫症状
- 頻尿
- 便秘など
です。筋腫が大きくなってくるとおなかの上からでもかたい感触がわかるようになってきます。ただし、発生する場所などによっても自覚症状は異なり、また、大きくても無症状だったり、小さくても大出血の原因になるケースもあります。
■ 子宮筋腫の妊娠への影響は?
子宮筋腫はできた場所によっていくつかの種類に分けられますが、その種類や大きさ、状態によっては、不妊症の原因になったり妊娠にさまざまな影響を及ぼす場合もあります。ですが、一方で妊娠経過にはほとんど影響しないタイプのものも少なくありません。
妊娠中に子宮筋腫を抱えていると起こりやすいトラブルとしては、代表的なものに流産や早産などが挙げられます。子宮筋腫が受精や胎児の発育を妨げるような位置にあると流産の原因になることもあります。また、子宮筋腫があるとどうしてもおなかが張りやすくなるので、早産の可能性も高くなります。子宮筋腫のできる場所によっては胎児の発育遅延や常位胎盤早期剥離、さかごが直りにくいなどのトラブルが起こる可能性があります。
■ 子宮筋腫があるママのお産はどうなるの?
子宮筋腫が子宮の上部に位置している場合は、少しくらい大きくても分娩の障害になることはほとんどないようです。子宮の下のほうに位置し子宮口に近い部分にできた大きい子宮筋腫の場合は、分娩時に赤ちゃんの通り道となる産道をふさいでしまうため、経膣分娩が困難になります。いろいろなケースがあるので医師と話し合うことが大切です。
子宮筋腫があることによるお産のトラブルとしては、本来お産が始まると有効な陣痛(子宮収縮)を得られるのが普通ですが、子宮筋腫があるとその部分は収縮しないため、微弱陣痛などのトラブルが起こりやすくなります。その結果、お産が長引くと、緊急に帝王切開を行う確率も高くなります。
子宮筋腫を抱えての帝王切開は、通常の手術のときより出血量が多くなる傾向があります。また、赤ちゃんと胎盤の娩出後に子宮収縮が十分でないと大出血を起こす恐れもあります。出血量が多くなると予想される場合は、妊娠中から輸血用の自己血を採取し出産に臨むケースも多くなります。
■ 子宮筋腫のあるママが注意することは?
妊娠中期以降は切迫早産を起こしやすくなり、入院安静の可能性も高くなるので、普段から無理のない生活を心がけることが大切です。仕事を持っているママは、なるべく仕事の量を減らすのが望ましいでしょう。できれば午後などに1〜2時間程度でも、横になって安静にする時間を持つようにしましょう。
また、妊娠中は子宮筋腫が変性を起こす心配もあります。痛みが出たら早めに受診するようにしましょう。
■ 子宮筋腫の治療はどうなるの?
妊娠中は痛みが出たときのみ投薬治療や入院して硬膜外麻酔を数日から1〜2週間ほど継続的に点滴するといった痛みを抑える治療を行いその場を乗り切るケースがあります。
産院などの方針にもよりますが、妊娠中は子宮筋腫の影響で母子の健康状態に問題が生じたときなどの例外を除いては、子宮筋腫の摘出手術は基本的に行いません。
<産後>
産後は女性ホルモンの影響が少なくなるので、子宮筋腫は小さくなるのが普通です。症状が泣ければ、特に治療をする必要はないようです。ですが、非妊娠時に握りこぶし以上の大きさがあり、過多月経や痛み、貧血、圧迫症状などがあるときや、将来の妊娠・出産に影響を及ぼす可能性があるときは、薬物療法や手術を行うこともあります。