ソフロロジー式分娩法について

おなかの赤ちゃんをいちばんに思い、陣痛のどんな痛みも赤ちゃんが生まれる喜びに変えてしまう分娩法があるのを知っていますか?イメージトレーニングによって母性の確立を目指す、ソフロロジー式分娩法について学びましょう。

■ソフロロジー式分娩法ってどんなお産?

ソフロロジーとは「どうやったら精神的にリラックスできるか」を追求したもので、それを取り入れたものが「ソフロロジー分娩法」です。お産でもリラックスは大きな意味を持ちます。ママの体に力が入っていると、子宮も産道もかたくなり、赤ちゃんは締め付けられて上手に進めません。酸素も供給されず苦しくなります。逆にリラックスできれば赤ちゃんは無理なく産道を通ってくるので、頭が丸く、ピンク色をして元気に生まれてきます。

一方のママは、緊張の中でもリラックスの状態を作ることができれば、落ち着いて疲労が少なく、会陰の伸びもよくなります。裂傷が少ないので、産後の回復が早く、出産から即、育児へとスムーズに移っていけます。

ソフロロジーでは、陣痛の痛みを麻酔などで感じなくするとか。「痛みはないものだ」と考えることはしません。痛みは痛みとして受け止めます。ただし、痛いことを苦痛、嫌なこととは考えず、「赤ちゃんを生み出すための最も大切なエネルギー」と考えます。この痛みを恐怖から喜びへと切り替えることが「母性=赤ちゃんを思う心」です。

このようにソフロロジーでは、物事をすべていいほうに考えます。「私はネガティブだから向いていない」と思う人も心配いりません。イメージトレーニングによって、誰でも変わることができます。母性もイメージトレーニングを繰り返すことではぐくまれます。

不安や恐怖を消すには「知る」ことも大きなポイントです。産前教育で不安や恐怖をなくすことで痛みも軽減されます。これに「赤ちゃんを生み出すための大切なエネルギー」というプラスイメージが備われば、安らかな精神状態で出産に臨めます。産前のトレーニングで培った母性やポジティブ思考は、その後の育児にもきっと大きな力を発揮するでしょう。

 

■ソフロロジー式分娩の具体的な内容は?

人間は痛みのあるときに力を抜くことはできません。分娩におけるリラックスとは、陣痛が来ていない休息のときに、全身を緩めた状態に持っていくことをいいます。

しかし、リラックスしてと言われて、急にできるものではありません。出産時ともなればなおさらです。そこで出産時にスムーズにリラックス状態にもっていけるように、エクササイズやイメージトレーニングを繰り返し行うのです。エクササイズは体を鍛えるためではなく、緊張とリラックスの対照的な感覚などを疑似体験し、体に覚えさせるために行います。

イメージトレーニングは、BGMを聞きながら行います。人間の意識は氷山の一角に過ぎず、その底には意識の7〜8倍の無意識が存在するといわれています。脳が意識と無意識のはざまで描いたイメージは、現実と区別ができないのです。このはざまが「眠りに入る間際の意識状態」です。このときに赤ちゃんのことや2人で取り組む出産の光景、これからの親子生活などをイメージすると、脳は現実と区別できず大脳皮質下に記憶され、母性のスイッチが入り、母性がはぐくまれるのです。その手助けとなるのが音楽です。音と言葉が心身をリラックスさせ、眠る間際の意識段階に誘います。そして繰り返し聞いていると、お産が近づいてきた頃には音楽を聴くだけでイメージができ、リラックスできるようになります。

ソフロロジー式呼吸法
「ただゆっくりと吐く」が基本。難しくありませんが、パニックになると吸ってばかりの過呼吸に陥りがち。本番で自然にできるように、繰り返し練習しましょう。

1.あぐらをかき背筋を伸ばした姿勢をとります。腸の上、おへその下を押しながらゆっくり、深く力強く息を吐きます。

2.息が吐けなくなったら、自然に素早く息を吸います。十分に吐ききっていると横隔膜がかなり下がっているので、意識的に吸わなくても、ごく自然に吸い込めるはずです。

3.息を吐く前に、少しの間息を止めます。このとき腹筋を下に圧迫するようにします。こうすると空気がゆっくり静かに漏れ、その圧力が腸を圧迫します。

4.娩出時はいきみの呼吸。といっても、従来のように息を止めてがむしゃらにいきむことはしません。赤ちゃんを娩出する力(子宮収縮)を助ける気持ちで、陣痛の波に乗って、少しずつ息を漏らしながら行き見ます。普段の排便時に、少しずつ息を漏らしながら腹圧を加えて排便してみると、その感覚がつかめます。

 

陣痛は待ってました!の嬉しい痛み
陣痛は痛くないわけではありません。しかし、つらいもの嫌なことではないのです。この痛みは、「赤ちゃんを生み出すための最も大切なエネルギー」なのです。しかも痛いのは、長くても50秒たらず。それ以上続くことはありません.

痛みのある収縮期のあとには必ず痛くない間欠期がやってきます。この繰り返しが陣痛の波です。赤ちゃんは収縮と間欠の波に押されて生まれてきます。休息のときは、赤ちゃんにたくさんの酸素を送ってあげる大切な時間。ここで体も心も十分にリラックスさせて子宮を柔らかくできれば、母体は疲れることなく、赤ちゃんにもたくさんの酸素が送られます。

 

■自分でできるイメージトレーニングは?

赤ちゃんを思うことがイメージトレーニング

イメージトレーニングで作り上げるのは、「赤ちゃんを思う心」につきます。ゆったりとしたテンポの音楽をBGMにし、子宮の中で温かくくるまれている赤ちゃんのことを思い描いてみましょう。ママがリラックスすればするほど、赤ちゃんはたくさんの酸素を受け取ることができます。そしておなかの赤ちゃんとともに迎えるお産、親子の新しい生活などをイメージします。こうして毎日赤ちゃんのことを考えることで、ママの母性ははぐくまれていきます。

妊娠34週になったら「10回胎動カウント」を

妊娠34週に入ったら、1日1回、赤ちゃんが10回動くのに何分かかったかを計ってみましょう。計っている間は赤ちゃんのことを考え、子宮の中で健やかに育っていることを素直に喜び、その気持ちを赤ちゃんに伝えてあげます。名前をつけて呼びかけてあげると、より具体的に赤ちゃんをイメージすることができます。

 

■こんな場合はどうなの?

Q:イメージがうまくできない人はどうするの?

A:おなかの赤ちゃんのことを考えるだけで、十分なイメージトレーニングになります。1日1回赤ちゃんのことを考えてみることから始めてみましょう。

Q:イメージがうまくできない人はどうするの?

A:CDや本を使って十分に独学できます。どこで分娩することになろうとも、赤ちゃんとママが一緒に行う自律分娩に変わりはありません。ソフロロジーの目的は出産そのものではなく、母性の確立です。何よりもママと赤ちゃんの気持ちがいちばん大切なのです。

Q:ソフロロジー式分娩で難産になった人はいないの?

A:トラブルを伴う場合は、難産になることがありますし、途中から帝王切開に移行することもあります。しかし、人為的な難産は避けることができます。長時間に及んでも、痛みのないときにママが上手にリラックスできれば、赤ちゃんもママも元気なまま自然分娩で乗り切ることが可能です。

 

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